第6話

中で指が動いている妙な感覚に、体が拒否反応を起こすけれど、壁をなぞるとそれも意味をなくしてしまった。



「ここ、いい?」



「ん、ぁあっ……」



ゾクゾクと背に変な感覚が走り、自然と声が出る。



鳴沢が与える感覚は、全部初めてで、戸惑ってしまう。



その部分ばかりを何度も擦られ、その快感に体をビクつかせて達した。



「悪い、もっとゆっくりって思ってたんだけど……俺、我慢出来ねぇわ……」



「……え? ひっ……」



入口に宛てがわれ、少し先が中へ食い込む感触がした。



それだけで、鳴沢の昂りが大きい事が分かる。



少し怖くなり、体を固くする。



「なるべく、ゆっくり入れる、から……力抜け……」



「無理っ……だって、そんな大きいの、入んないっ……」



つい体を起こして見てしまった。



今までの彼氏のとは、比べようがないくらいには大きいソレに、怖気付いてしまう。



「今更無理って言われても、こっちが無理だってのっ……」



「ちょ、まっ……んっ、ぅ、あぁ……」



体を押し返され、またベッドへ体が沈む。



ゆっくりだけど、確実に進んでくるその質量に、酸素を求めて陸に上がった魚のような呼吸をする。



苦しさはあるものの、不思議と痛みはなくて。



「っ、も、ちょいっ……はぁ、力、抜けって……」



「あ、む、りぃ……」



「ゆっくり、息吐け……」



こういう行為が久しぶり過ぎて、まるで処女のように鳴沢に言われた通りにする。



抱きしめられ、優しく囁かれる。



鳴沢の低く柔らかい声が、私の硬い体を解していく。



そうしているうちにも、鳴沢の昂りは中へと進み続ける。



小さく呼吸をしながら、ソレを受け入れるように、出来るだけ力を抜こうと頑張る。



「お前っ、もしかして、はぁ……セックスすんの、久しぶり?」



呼吸を整えるのに精一杯で、首を縦に振って答える。



「必死だな……そんな可愛い顔も出来んじゃねぇの……その顔は、俺以外の前で見せんなよ……」



この男は何でこんなに余裕なんだ。



悔しい。



「ん……はぁ……全部、入っ、た……」



「ふぅ……っ、んっ……はっ……」



圧迫感に耐えながら、鳴沢にしがみつくしか出来なくて、耳元で鳴沢がふっと笑ったのが分かった。



「痛かったら言えよ……出来るだけ、痛くないようにする……」



今の状態でもだいぶ苦しいのに、これが動くのかと思うと、背中がヒヤリとした。



「ゃ、無理っ……だっ、てばっ……ちょ、まっ、ぁああっ!」



ゆるゆると引き抜かれ、先程より少し早く侵入してくる。



中いっぱいに鳴沢が再び入って来て、ゾワゾワとした感覚がして、また自然と声が出た。



少しづつ着実に速さが上がっていく。



「お前、がっ……俺の下で、俺のを中で、咥え込んでっ、喘いでるとか……はぁ、ヤバすぎっ……」



「ひ、ぅ、んっ、あぁ、あっ……」



そんなに私に勝ったのが嬉しいのか、ニヤリと笑いながら、腰を打ち付けてくる。



ゆっくり動かされていた腰の動きに、段々と容赦がなくなってきた。



「ゆっくりすんのも、好きそうだった、けどっ……早いの、好き?」



変な質問してこないで欲しい。



普段から思ってたけど、ほんとに意地が悪いというか、人の弱みが好きというか。



「ぁ、ンっ、性格っ、悪いっ……」



「何で……っ、侵害だなっ、ぁ、っ、可愛がってんだけど、これでもっ……」



言って、いやらしくキスをする。



甘やかすような、誘うような顔で笑い、両手で私の腰をしっかり固定する。



ゆっくり動かしたり、少し早めたり、緩急をつけて腰を揺らす。その時の顔は、ほんとに楽しそうだ。



「やっ、あっ、ンっ、ぅあっ……」



「いい顔……っ、はぁ……じゃ、ここ」



「ひっ、あっ、やっ、なっ、あぁあっ!」



奥まで刺し入れられ、グリグリと腰を動かすと、今までの気持ちよさとは、比べられない程の快感が体を走る。



高い声を発して、体を反らして絶頂する。



なのに、それをやめてはくれなくて、しつこく何度もそこを刺激してくる。



「エロ過ぎ……」



「やだっ、もっ、やあぁっ……ぅ、ん、あぁあっ……」



「クソっ、何でっ、そ、んなっ、ン、可愛いかねっ……」



余裕な顔して私で遊んでいたはずの鳴沢は、突然辛そうに眉を寄せて、腰の動きを激しくしてくる。



「ひっ、ああっ、いきな、りっ、早っ……」



「はっ、可愛過ぎるっ、お前が悪いっ……」



ずっと可愛いばかり言われると、妙な気分になってくる。



好きでもないのに、こういう言葉が簡単に言えるような男だというのは、最初から分かってる事だ。



別に、本気で言っているわけじゃないから、何も気にする必要はない。



なのに、何でこんなにモヤモヤするんだろう。



「考え事とかっ、さすが、瑞葵ちゃんは余裕ですねぇー……。ならもっと強くしても、大丈夫だよなっ……」



「ぅ、ああぁっ、はっ、ぃ、ぁ……」



「あららっ……トロけた顔しちゃって……」



奥を何度か突き上げられ、電流が流れるような快感に体を震わせて達する。



頭が、真っ白になる。

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