雨濡れの気象予報士~君の明日の剖検

天川

第1回 門番の憂鬱、『異邦人』とは 「鬱陶しい奴ら」の正体

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 【ご注意】 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 こちらの作品は、拙作『雨濡れの君の明日』を読み解く剖検内容となっております。

 https://kakuyomu.jp/works/16818023213588667031

 上記の作品を読まずにこちらを読みますと、重大なネタバレを引き起こします。

 まだお読みでない方は、ぜひ上記リンクより当該作品をお読みになってからこちらをお読みになることをお勧めいたします。


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 さて、部員※の口車に乗って自作を剖検するというとんでもない企画がスタートしてしまったわけですが……当作品はもともと様々な実験的要素を盛り込んだ『実験作』でもありました。

 今回、優秀な読者を多数得ることが出来まして、改めて作品についての内容を紐解いてみて欲しいという要望のもとこのような場を設けるに至りました。


 わかりにくいと言われることも在る本作品でございますが、こちらを読みますとより一層内容を深く読み解くことができる仕組みになっております。


 なお、当該作品はまだ連載中でございますので、今後の展開を匂わすような内容は含めないように努力します。が、説明の必要上どうしても触れる部分が出てくるかも知れませんので、その点はご了承下さい。


 ※部員………カクヨム創作部の部員のこと。詳しくは以下のリンクから。

 https://kakuyomu.jp/works/16818093080515146681



 さて、まずは作品の舞台となっている場所の説明から。

【細かいネタバレがありますので、物語の紐解きに進みたい方は、こちらをよみとばして第2回へお進みください】


【第2回】

https://kakuyomu.jp/works/16818093085691759795/episodes/16818093085695290587



 当作品の舞台は、東北地方の日本海側にある架空の港町という設定になっております。やや過疎が進みつつある人口25,000人程度のやや寂れた港町であり、自殺の名所的な街になりつつある謂わば東◯坊的な土地という設定です。

 そんなある意味不名誉な呼び名を持つこの町の海を見下ろす町外れにあるのが、舞台となっている『異邦人』という珈琲喫茶です。

 外観はレンガ造りの風車小屋のような佇まいの尖塔部分と、北欧の農家のような建物部分とが一体化したようなちょっと凝った造り。中は比較的広く小さなビアホールのようでもあり、レストランのようでもあるちょっと変わったお店です。席数は16+8、(奥に行くと一段高くなっている室内テラス席のような造りが8席)さらにカウンター席6という、個人経営にしては結構多めの構成です。しかし、椅子がフルに埋まることは無く、むしろ相席をしないで済むように、テーブル数を多めにしているという意味合いもあります。因みに、一人でゆっくり珈琲を楽しみたい人は2人がけの小さなテーブル、マダムや他の人とお話を楽しみたい人は4人がけのテーブルに座る、といった感じです。

 尖塔部分から連なる建物の天井は比較的高く、一部だけ二階層がありけっこう複雑な作りです。このへんは、物語が進むにつれておいおい明らかになっていきます。


 従業員は現在3名+2という布陣。


 「天護あまもり いなさ」36歳。

 店の女主人であり、『マダム』と呼ばれている謎の女性。

 未亡人でもあり、旧知の松永からは「奥様」と呼ばれている。話術士と呼ばれるほどに話が上手く、お店の顔役でもある。普段はフロアで給仕を主な役目としているが、お店自慢の珈琲は彼女自身の手によるもの。忙しいときには厨房仕事もこなす。

 『門番』のチーム内では、サポートに回ることが多い。


 「永峰ながみね しゅう」34歳独身。

 今作の一応の主人公であり、+2のうちのひとりがこの人。

 正社員ではなく、以前のとあるきっかけから店に通うようになり、そのままバイトのような形で居着いている。普段は掃除や店の外観の環境整備(草刈りなど)仕入れの荷運びなど、雑用がメイン。最近ではフロアの仕事も任されているが、本人はあまり接客はやりたくない模様。

 この街における『門番』チームの実質的リーダーであり、主任務が門番。コールサインは『フリーター』。機転と度胸、そして人の内面に踏み込む豪胆さと共感力を武器に日々の役目をこなす。

 

 「瀬川せがわ あづみ」35歳独身?

 異邦人の厨房スタッフ。さばさば、からりとした性格で割と気が強い系の女性。

 普段は店の厨房内での仕事に従事しているが、面白そうな事が起きていたり客が少なかったりすると、割とフロアに出てきて会話に加わることが多い。

 店のレギュラーメンバーの中で唯一、『門番』チームに加わっていない。門番のことは知っているが、自分から積極的に関わることはない。


 「松原まつばら 徹郎てつお」56歳、既婚者。

 (指摘を受けて変えましたw 松永→松原)

 異邦人の非常勤スタッフ。+2のうちのもう一人。本業は弁護士であり元は街の弁護士事務所に勤めていた。門番の業務を行うにあたり、法律関係の必要な知識のサポートと手続きを行う役目を担う。普段は、フロアの仕事を手伝いつつ、店の奥のテラス席に陣取り、異邦人を訪れる相談者の法律相談に乗っている。

 毎日出勤する訳ではなく、古巣の弁護士事務所の手伝いを続けつつ異邦人にも顔を出す勤務形態。異邦人のオーナーに無理やり頼まれる形で『門番』チームに引き入れられた。マダムとは旧知の間柄。コールサインは、そのまま『弁護士』。


「謎のおやじ」

 未登場w

 あづみと共に厨房を預かるベテラン親父で正社員。ほぼ登場する予定がない。


音取ねとり 和志かずし」46歳独身。 

 絵描きの中年男性。

 異邦人の準レギュラーのような客。類まれなる美術的才能を持つが、生活力や労働能力に乏しく、貧乏暮らしを続けているが本人はその辺はほぼ気にしていない。絵が描ければ幸せという、羨ましいまでの創作家気質。

 とにかく少年のような純真さと感受性を持ち、好感が持てるが世間体に疎い。



『門番』とは


 ゲートキーパーの呼び名でも知られる、自殺者を見つけそれを思いとどまらせるための手段を講ずる人の総称であるが、作中では、ある特別な役目を負ったチームや職業を特にそう呼び表している。

 この街でのチームは、『フリーター永峰』、『マダムいなさ』、『漁師』、『郵便屋』、『弁護士松原』の五人体制。


 異邦人のオーナーが発起人となって始まった、とある組織の活動の一環であり、世間的には非公開の組織。手当や機材もそこから支給されている。

 金を貰って自殺者を止めるという、謂わば『必殺仕事人』の逆のような活動をしているチーム。メンバー内でも、義憤に駆られて役目を負ったものや、かつての経験から活動に参加するもの、永峰のように「自身に向いていると思うから」という変な理由で従事する者もいる。この街の他にも、複数のチームが存在するらしい。




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