正解は太陽

―――ひょんな異世界転生から1年経ったのですが、ゴンゾウは今も元気です。


「おぉぉ⋯⋯ゴン太がテストで100点を!」

「うん!凄いでしょ!」


―――なんとあれから1年でゴンゾウは小学2年生の子供の親となっていた。

別にこの1年で結婚からの子供が生まれて急成長した!⋯⋯という訳ではなく行き場を失った施設の子供を1人引き立ったのだ。


―――あれから1人で世界に戻ったゴンゾウはまず警察のお世話になりカツ丼を食べたのだが訳だが、警察になにがあって家が壊れたのかを聞かれた。

その理由が『空から飛行機と潜水艦のハイブリットが落ちてきたから』なんて意味不明なものなのだから警察も困惑。

一時は施設に入ることになりかけた程だ。

奇跡的に弁明できたゴンゾウは家が壊れた時の保険金で、今度はアパートの一室に引っ越したのだが⋯⋯やっぱり1人は寂しいのか施設から小学生の男の子を1人引き取ったのだ。


「おじいちゃん、今日はハンバーグ食べたいな!」

「ほっほっほ、今日はテスト頑張ったからなぁ!特大のハンバーグじゃあ!」


ゴンゾウには料理という趣味が出来ていた。

あの時食べたカツ丼の美味しさから食べる喜びを知りそこから自分で作る料理の楽しさを知った。

最近ではお菓子作りにもチャレンジしてるとか。


「⋯⋯それにしてもあれから1年も経ったか、あやつらは元気にしてるかのぉ⋯⋯」

「おじいちゃんどうしたの?」

「ん?そうだなぁゴン太、おじいちゃんは1年前な不思議な世界に飛ばされたんじゃ―――そこは機械に支配された世界で⋯⋯」


◆◆◆


―――機械に支配されていた世界だが100年の時を得て人間を元に戻す技術を開発した2人は世界に感情を、涙を取り戻した。

そして世界を戻した時にマルシアは初めて涙をこぼすことが出来たのだ。


「私はようやく成し遂げたのか⋯⋯

その⋯⋯アルファ、100年もの間手伝ってくれてありがとう」

「⋯⋯まぁ友を元に戻すためだ」


もちろん友であるディスタを元に戻したい、という願いはあったがそれの他にもう1つ理由はある。


「それに1人では寂しい⋯⋯」

「⋯⋯もしかして私のために残ってくれたの?」


アルファも吸血鬼の最後の一人として孤独の辛さはよく知っていた。

だからマルシアを1人にすることはできなかったのだ。


「⋯⋯さて、太陽がまた見えるって言うのなら我は城に戻る。もうすっかり体も弱り

もう70年ほどしか生きられなさそうだしな」

「ならアルファ⋯⋯、私と番を結ばないか?」

「んん!?なにを言っている!それに我は300歳っぽちの子供なんかに興味なんかぁ⋯⋯」

「そうだよね⋯⋯私の体なんて子供みたいだし興味ないよね」

「そんな事は言ってない!」

「⋯⋯ふふっ」


―――太陽が再び戻った世界では以前のように民を支配する王のような存在は居なくなり民が全員で協力するようになったそうな。

それに伴い、世界に光を戻した英雄として3人の銅像が建てられたらしいが⋯⋯

その内の2人は空に浮かぶ城で大勢の吸血鬼の子供と暮らしているとか⋯⋯


◆◆◆


「―――ということがあってなぁ⋯⋯懐かしいのぉ」

「へぇ!すごぉい、おじいちゃん大変だったんだねー」

「あぁ⋯⋯それにしても結局あの謎はなんだったんじゃろうな⋯⋯機械世界最後の花⋯⋯」

「ライチュウじゃないの?」

「うーん⋯⋯やっぱりなんか違う気がしてのぉ」

「じゃあピカチュ○なんだよ!だってピカチュ○の方が可愛いもん!」

「ほっほっほっ、それもそうじゃのぉ」


そう⋯⋯『宇宙の始まりは来世からだ』の答えはライチュウではなくピカチュ○だったのかもしれない。


そういえば地球とあの異世界では所々名前は同じでも違う物がいくつかあったな⋯⋯

もしかするとあの異世界での太陽も名前と役割は一緒なだけで、どこか違うのだろうか?

そう、それはたとえば太陽が1輪の花だったり―――


【完】

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