大輪廻ハ魂、外へと酔う鯨
サメチョコ
『 』
書とは何か、字とは何か、巡る巡る言葉の時。
人は人のみの存在だとそう言えるのだろうか、差があれば違うのだろうか
その差はいったい誰が作ったのか、人が人とあるべしと他と違うところを主張し身勝手な測りで自らの種が大輪から外れた種の魂と思っているのか。
滑稽、笑いさえ空に消える。
命とは大輪という名のある種の生物の一つ、ただ大輪の中で全てが等しく回っている。ただそれだけそれだけである特別なことはない。
血が血液が身体中を巡るように、魚に食われ鳥に食われ人に食われるように
出会いと別れが巡るように、ただ命が回っているだけだ。
ただぶつかり削れ自由意志がないそれは器のなかで今世を生きていく。
生きて生きてその持つ命が器から離れるまで世を生きる。そして死してようやく命が巡り大輪に還帰する、弱き命が削られながら。
--私の今まではとても有意義なものだった。若き頃に己のみを信じ、村を出たあの日から。背中を預けれる彼に出会い一つの私を終えてあの子と共に新しい私ができたあの時から今まで--
丘の上で佇む老婆は、きっと一度しかない人生を振り返っていた
もう残り少ない涙を流しながら、けれど流れるそれは背後から迫る炎をまとった球によって蒸発された。その火球は無から生まれてるわけではなく人間の文明の発展と自然の摂理によって認識がされた未知のエネルギーを利用し、媒体を通して生み出されたもの。その力は広大な世界で生きる知性生物全てが扱えるものだが上級種族や支配階級の肥えたもの達に独占され本来知性の発展に使われるものであったそれはだた一生のために他の人生と進化を停滞させた。しかし、上の者達も永遠を生きるわけではなく世代も交代していき上と下が入れ替わる。
時代の転換期、混沌を極めたその時代ありとあらゆる他人と差を大義に争いが生まれた。貴族から平民、自種族から他種族、ついには無機物さえも。
独占された未知を解放し誰もが抗う力を手に入れられるよう私は死力を尽くした。それが正しき世界の道だと信じて、共感を持つものは次第に増え続けかけがいのない仲間たちができた。多くの苦難があったが己を信じ仲間に支えられて私は走り続けることができた。結果幾多の種族は小国に分かれ各々未知を既知へと生活に応用を続け。
--あたしの役目はここで終わり。きっとこの先より良い未来が待ってるわ--
発展に発展を続け、知性はこの広大な世界の半分を埋めつくほど成長し未知とされていたエネルギーも生まれた赤子が使えるほど誰しもが使えるものとなった。その未知を彼らは知性の結晶『技術』から名を借りて『術式』と称し更なる豊かな生活、既存技術の効率化、今や術式が関わらないものがないほどの関係になった。術式の応用性はとても高く幾多の種族や思想が違えどそれぞれの発展に大いに役立った。森の中で信仰心が強い森人種や森精族という種族は信仰対象である森林を消費した発展を嫌っていたが術式の普及により木材のままで大型建築や森を汚さないエネルギーさらには細かな精密機器まで術式で代用できるようになり各々の文化を残しながら発展を遂げた。他にも岩人族、地精族は岩山を削るための術式を研究行なっており大型機器との併用で都市を築いた。そのようにそれぞれの種が種としての個性を伸ばしていき、世界は平和を目指し成長すると信じられていた。
--かかってきなさい、その未来を己の欲の為に踏み躙る帝王の子らよ--
--私が、大英雄ヴィネーバが、
その日、世界は平和のため統一された帝国のもと手を取り合った。
大反逆者ヴィネーバの大罪より。
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