第6話 二度目の、、、
ついてこい。そう言って、レイギスと名乗った男は背中をくるりと向けた。
ノワールが男にぼーっとしていると、自分についてこないのに気づいたのか、こちらを向いて、苛立ちながら、
「ついてこい!って言っただろう!!」
ギリリっと軽く恨めしそうに睨んできた。
そう言われて、やっと初めて男のセリフが脳に届いて、大人しくついていくノワール。自分の身はきっとどっかのおせっかい天使がが守ってくれる。簡単に責任転嫁して。
路地裏。
流石にまずい。
今更気づいたノワール。
確か、この男、自分を殺すと言わなかったか?
そう宣告していた気がする。
逃げようとした時に、手を掴まれた。
「逃げようと思ったのか?怖いのか?俺が?ふん!!こんなやつが元、魔王なんて、笑わせてくれる!!」
ちっと困って、こういうことにしたノワール。
「誰が魔王だって??ひと違いだろうよ。それともクスリか酒のやりすぎでおかしいやつなのか?」
なぜか相手の顔は赤くかぁっと頭に血が昇っているようだ。
「誰が頭の馬鹿だと?!お前が北国の出身なのは調べがついているんだ!」
ノワールはノワールで魔王と言われるのが不愉快で頭に血が昇ってきた。
「俺は人殺しじゃあない!!勝手に殺されてもいい身分でもない!謂れもない!悪魔だなん
て決めつけるな!」
ぎゃあぎゃあと叫ぶ声は路地裏からなのにもかかわらず、なんだなんだと民間人が覗きにきた。
これで、ちっとばかし体制が不味くなったのは、相手の方だった。
流石にノワールと違って、世間体を気にする北国の魔族なのかもしれない。
そうだ。ここは中央國。
エクチュード。
北国からすごく離れている割には交流が盛んだ。
彼の身元が北国のお偉いさんだとわかったら、まずいのかもしれない。
ーーそう判断してーー
ノワールはまた禁忌を犯した。
【なを呼ぶ。レイギスよ。ーーお前は今から天界に飛ぶがいい。我が名はノワール。汝に命ずる。我が命を一つお前にくれてやろう。国から出たらすぐさま首を括れ。天界にて恥を晒してこい。もう一度いう、、首を自らくくり、神に捧げるのだ】
ヒュッと息を呑んだ音が聞こえた。
肝心の間の悪いことにガーノルドだ。
彼女が、2人の男が暴れていることを聞きつけたのだろう。
そうお互い気を取られているうちに、レイギスと名乗った男は自ら腹を手で内臓を抉り取り、その腸で首をくくり、天まで一つ飛びした。
ーー彼は今頃天界だろう。つまり、死んだのだ。しかし、ノワールの一つの命を使っているので、死んだのはノワール。彼は天界に迎えられたはず。
ガーノルドはそうとは知らず、彼女も自前の鎌で自死をしようとした。彼女から見たら、また関係ない人間がノワールの手にかかる場面だったのだ。
それが自分の魔力の影響かと勘違いしたノワールは素早く手を伸ばし、口付けをした。
10秒時が止まって、生きていることを確認すると、ガーノルドの鎌を地面にゆっくり、、彼女を刺激しないように静かにおろした。
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