第18話

「あの二人、別れたらしいよ」

「えーまじ?早くない?」

「でも別れの現場を見た人がいるって」



当の二人が話さないのをいいことに。周りの女子が、素早くヒソヒソ話を始めた。


あぁ、やっぱり。そうなりますよね……。



(しばらく学校で居心地悪いだろうなぁ)



でも仕方ないか、と私は腹を括ったのに。


元カレこと・鈴木くんは、ヒソヒソ話に耐えられなかったらしい。靴を乱暴に下駄箱に入れると、



「はぁ……まじ面倒」



と。私だけに聞こえるような小さな声で。だけど私にだけは聞かせてやるぞという、ハッキリした意志を持って。


吐き捨てたように呟いた後、室内シューズに履き替えていた。



(なんで、そんなこと……っ)



こみあげてくるのは、虚しさ、恥ずかしさ、そして悲しみ。


顔を歪めるくらい、そんなに私と別れたかったんだ……。私、さっき結構がんばって挨拶したんだけどな。


その努力も、今にも舌打ちが聞こえてきそうな顔でスルーされる。遠くなる背中には「話しかけるな」と書いてある。

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