第17話



『調子が悪いんじゃないの?本当に大丈夫?』



という言葉を、お母さんから五回くらい聞いた時。私は家を出た。目覚めの悪い私が珍しくキリキリ動いてるからって、不信感を抱かないでほしい。



「不信感、か……」



頭の中で、うそくさい笑みを浮かべる香月雅を思い出す。



『ねぇ俺と付き合う?付き合わない?』



そんなセリフのあとに、キスをされたわけだけど。


結局、私と香月雅は付き合ってないよね?さすがに私にも人権はあるよね?「付き合う人を自由に選ぶ」って言う、人権がさ。



「はぁ……思い出しただけで、朝から気が重い」



ため息をつく内に、もう下駄箱まで来てしまった。


そう言えば、あの香月雅と、学校も学年もクラスも同じだったと思い出す。



「あ」

「……あ~。お、おはよう」



そして……昨日別れた元カレとも、その条件が同じだった。


高校一年生の六月。席替えはおろか、クラス替えなんてまだまだ先なのに。同クラ男子とさっそく気まずい仲になるなんて……。


とりあえず挨拶はしたけど、どうしよう。やっぱり気まずい。

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