第9話 稲ちゃんと月 続き

p2



あれは、夏の雲だよ。と親子のコンコンが、早速、見つけています。


いつも、神具屋のおじさんは、稲ちゃんを抱っこすると、ふもとの写真館で、写真を撮ります。




そうやって撮った写真は、祭りの頃、一枚300円で売られます。


いろんなひとが、遠方からきます。




この街より遠い遠い遠いところから、やってくるひとびと。




稲ちゃんは不思議に思います。




稲ちゃんは、今日も神具屋のおじさんの胸の中で、空の白い月を見ます。今日のそよかぜは、ふろふろ。




そして、目をつむった稲ちゃんの尻尾に小さな炎がともるのでした。




ゆらゆらゆらゆらとたぎる炎は、ごきげんにさせてくれます。




月を見ながら、今日も元気な稲ちゃんの姿が、森の小道にありました。




おしまい。





作成者 凪ナル : 2008年7月28日(月) 06:59

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る