第93話

考えかけて、考えるのを、やめる。



私たちの関係性に、名前など、ない。



それで、いい。



伊織くんと、スーパーのなかをゆっくりとただ、歩く。



「鳥ももが安いから、チキン南蛮なんてどうかな?」



「うわッ…!サイコー過ぎるんですけどー」



なんて、天をあおぐしぐさ。



「あ、でも伊織くん、お昼、からあげだったでしょ?違うメニューにしようか?」



「なんでよー?海乃さんのチキン南蛮が食べたいんだよー」



タルタルソースたっぷりのやつー!



あんな弁当やのからあげの比じゃないってー!



「いやいや、私のチキン南蛮、伊織くん食べたことないでしょ」



いーや!海乃さんのチキン南蛮は絶対ウマイってー!



「そんなハードルあげないでよー」



話しながら、ふたりで、歩く。



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