第87話

たまに、私の部屋に遊びにきて、ご飯を食べて帰ってゆく、伊織くん。



年齢差をまったく感じさせないのは、伊織くんの性格のせい、だと思う。



するり、とフトコロに入り込む能力に、驚くほど長けている。



そんな伊織くんと、おしゃべりをしながら食べるご飯は、私になによりの活力をくれる。



でもたぶん、お互いに話していないことがある気がしている…



たまに見せる、伊織くんの暗い色を湛えている、両目。



その目、は。



鏡に映る、私の両目、そのもの、だから。




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