第81話

「…ちゃんと、言いな、よ…?」



その口調には、トゲがなくて。



ふわり。と、やさしく、私を包む。



「…さびしい、すごく、さびしいから、今夜だけいっしょに、いて…?」



伊織くんを見上げながら、ひたすらに素直にコトバを紡ぐ。



「よくできましたー」



私と目線を合わせるように、しゃがんだ伊織くんは、私のアタマを撫でながら、告げた。



しっかり合った視線。



不思議な光を湛える、伊織くんの目の色。



吸い込まれてしまいそうだな…



その目から、目が離せなくなりながら、思った夜の、こと。




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