第63話
「…ウチ、来てもらってもいいんだけど、」
布団も余分にあるし。
伊織くんのそんな、コトバに。
「…いッ…?!いやいやいやいや…ッ…!そんなことッ…!!」
盛大に両手を振って、否定をすれば。
「…ふふ、さすがにそーっすよねー?」
ゆるやかに、笑ってみせた伊織くん。
ちょっと、待っててもらえますー?
言いながら、するり、と、玄関を出ていってしまう。
…まるでまるで、迷い込んできた、猫、みたい。だと、思った。
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