第56話
そんな、仕草もいちいち、絵になるな。
窓の外を眺めている横顔を、ちらちらと見ながら、思う。
「…なんか、オレのカオについてますー?」
ゆっくりと、私のほうへ視線を投げながら、伊織くんが言うから。
「…い、いやいやいやいやいや、ご、ごめんなさい…ッ…!」
反射的に謝ったら、
「…ふふ、今度は『いやいや』のオンパレードだー」
からかって、含んだように笑う、伊織くん。
ほんとだねー、
可笑しくなって、私も、笑う。
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