第52話

「…山吹 伊織、っす」



彼の声が、頭の芯に響いた瞬間。



失敗したー!!



盛大に、ココロのうちで、思う。



「…ご、ごごごご、ごめんなさい…ッ…!」



てっきり、名字、かと…ッ…!!



焦って、手のひらを向けて、謝るも。



「…ッ、ふふ。すげー、連続の『ご』っすねー」



少し、首を傾げて、ふわり、と、笑ってみせた。




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