第29話

あっちこっちに、思考をさ迷わせていたら。



気がつくと、窓の外の雨が、ゆるくやさしくなっている。



さっきまでの、大きな雨粒がすべて、うそだったかのように、やわらかな霧雨に変わっていて。



さっきまでのどしゃぶりの雨、は。



まるで、私をこの場所へ閉じ込めておくため、だったみたいだな。



なぜかそんな風に、考えて、いる。



このとき、ぼうっと霧雨を眺めながら思ったことを、私は。



未だに思い出す……




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