第23話

すみません、口のなかでちいさくお礼を言って、タオルを受け取った。



一瞬触れた指先は、思いのほか、あたたかい。



「テキトーに、座っててください」



言いながら、奥に歩いてゆく背中を見つめる。



髪の毛を拭って、服の上からもタオルを押し当てる。



なんとか、気持ち的にもマシになって、ちいさく、ため息をつく。



「…どーしたんすか?突っ立って」



自身も、髪の毛をタオルで拭きながら戻ってきた、彼。



「…あ、いや…ソファー、濡れちゃうので…」



「…気にすること、ないのに」



「…いや、でも…」



……、



……、



一瞬、空中で視線が絡んで、どきり。と、する。




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