第5話

口中をはい回る、人差しゆび。



「どしたー?ほら。ゆーこと聞かないんじゃ、気持ちよくしてやんねー、よー?」



耳の奥深くまで、入り込んでくる、声。



乱暴なコトバとはウラハラ、に。



その声音は、驚くほど、あまい。



気がつくと、そのゆび先に、舌を這わせている。



「…いいコ、いいコ。やればできんじゃーん?」



満足そうに、微笑むくちびる。



私を見下ろす目の色、は。



相変わらず、深く、暗い。




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