14.図書室

第22話

きゅっと唇をかみしめる結城。ぎゅっと結城の腕に抱き着くさおり。その温かい感触は、心地よかったが、だけど今はそれを満喫しているわけにはいかない。爆音が聞こえる。叫ぶ岩木。


「ここもだめだ! みんな、図書室に移動しよう!」


そうして、5人は図書室に向かう。何とか敵兵に遭遇せず図書室に向かった。


―図書室。岩木は本棚に手を添え、叫ぶ。

「俺は化学の教師だ。それをお前たちは救いだと思え! 俺たちは今、バックトゥーザフューチャーの世界にいる」


「なんすか、先生。回りくどく言わずに、すぱっと話をしてくださいよ」

とリーダー。


「2年A組の教室に戻って、2年A組の教室に雷を落とす」

岩木。


「で!」

みんなが岩木の続く言葉を待ち、息をひそめる。


「そうすれば、再びタイムスリップをして、元の時代に戻れる。ずばり3年前だ」


岩木の言葉に口をとがらせるリーダー。

「本当ですか? 本当に戻れるんですか? 3年前ですよ」


そこまで突っ込まれ岩木はしょんぼりとした顔をする。

「3年前とは限らない。だけど、戦争のない時代に戻れればいいと思う」


「戦争のない時代?」

結城が口を開く。


我々はいま、戦争を止めなければならないのに、一軍人だから、一慰安婦だから、世界は救えないんだ!とすら思わず、生徒たちは絶叫しそうになる。


岩木は言う。

「戦争のない時代にタイムスリップできれば、我々は助かる」


言葉を続ける。

「今のままタイムスリップをできなければ、いずれ全員殺される」


窓の外で爆音が響く。怯える生徒たち。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る