11.不順異性交遊

第17話

慰安婦の庵を抜け、なんとか、さおりの洋服を近場の市場で盗んで確保したのち、ほっとし、結城はLINEを見る。


「またみんな、2年A組の教室にいるみたいだ」

結城はふっとさおりを振り返る。さおりが歩み寄り、結城に腕を寄せ指を絡める。


「いいなずけだからね、ね」

そうつぶやいたさおりは美しい顔で頬を赤らめほほ笑む。


いいなづけかぁ! さおりは盗んできた洋服がよく似合う。鼻の下を伸ばしそうになるも、結城たちは2年A組の教室に戻る。


その間、時折、結城は敵兵を狙撃した。まさか結城の父とのお遊びが現実の世界で役立つとは、そう思った。いじめっこたちとも仲直りしたけれど、だけど、これはあくまでも戦争だ。必ずしもよい傾向だとは思えなかった。


教室に戻った2人。担任の岩木が2人に気づく。


「おお! 無事だったか!」

そこまで岩木は言うと、2人の異変に気付く。


「お前ら、何をべったりと寄り添ってるんだ。不順異性交遊は校則違反だぞ!」


「え?」

と結城。だけど次の瞬間、口をとがらせるさおり。

「私たち、結婚の約束をしているんです。いいなづけなんです!」


その力強い叫びに、ぎょっとする岩木。さおりの怒った表情に、言葉をなくす岩木。


「ま! ま。この異常事態だもんな、結婚の約束をしているならよろしい」

岩木は自分でも本当に変なことを言っていると思った。なんなんだ、これ、と思いながら言葉を発する。

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