10.まさかの出来事

第16話

これは一体夢だろうか? 結城は思った。大好きなマドンナのさおりちゃんがフェラチオまでしてくれる。AVどころじゃない。夢みたい。戦争が悪いだけとは思えなくなった。


いったん果て息を荒げた結城がさおりの右肩を持ち、抱きしめようとしたその時。ふっとさおりの手首の包帯に気づく。ことの意味をうっすらと気づき、おそるおそる尋ねる結城。

「その手首の包帯はどうしたの?」


その言葉にセキを切ったように叫ぶさおり。

「私、死にたいのよ! こんな人生、いやなのよぅ! もう死にたい!!!」

泣き叫ぶさおり。


結城は、さおりの両肩に両手を力強く添え、泣きながら言った。

「ごめんね! 変なことさせて。責任を取るから結婚しよう!!!」


結婚という言葉にえ? っととまどうさおり。ぎゅーっと結城に抱きしめられる。そうして、結城はブラウンケットをさおりの体に巻かせ、立ち上がる。


「ここから、逃げよう!!! 敵兵は俺が倒すから!!」

そう叫ぶと、投げていた機関銃を再び肩にかけ、さおりの腕を引く。

二人で慰安婦の庵を抜けていく。


意外と敵兵の目がないことにほっとする結城。


「聖子先生は?」

とさおり。


「わからない」

舌打ちする結城。結婚という言葉を思い出し、ほのかに涙を流すさおり。さおりの腕をつかみ腕を引く結城。

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