第15話
メールでのやりとりとは全然違う、咲斗の言葉にはなは愕然とする。咲斗は言葉を続ける。
「面倒くせぇと言うより、お前口臭いのな」
はなはびくりとする。はなはまだ裸だ。シーツで肌を隠し。咲斗はボクサーパンツ姿。2人が愛の行為をしたばかりというのは、シーツの乱れ具合からも、分かるだろう。
「もう帰れ、お前臭いから」
「な」
はなは咲斗の態度の変化に狼狽する。
「二度と遊びに来るな!」
「え?」
驚くはなは叫ぶ。
「え?結婚は?普通、処女の女の子とセックスしたら、婚約か、結婚でしょう!好きだからしたんだよ」
かったるそうな態度をあからさまに見せる咲斗。咲斗が不倫専門の出会い系マニュアル師だとははなは一切知らない。
こんなにひどい態度を取るとはメールでは想像できなかった。
「うるせぇな!こいつを見せてやるよ」
咲斗は1冊のA4判のノートを出した。その表書きには、No.13と書いてある。これまでセックスしてきた女たちのデーターだ。
「ここにお前の名前が入る。日野咲はな、処女、バストはCカップ。スレンダー。感度は、まぁまぁ。欠点、口が強烈に臭い。二度と抱くか!」
これは咲斗のいつもの手かもしれない。セックスをした後で、くずをし、あきれ果てられながら捨てられる手口。ナンパ開始当初は、もっとやさしくなかなか別れられなかったかもしれない、だけどマニュアル師までなると、もう回り道をしていない。
これが正しいのかどうかは、一切分からない。だけど、咲斗はこれが一番手っ取り早いとしているようで、後日不倫専門のマニュアルにも掲載しようともくろんで、原稿のたたき台のようなものも作っていた。
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