第12話
殺戮衛星。正確には囚人管理衛星。
それを私用するのはよくないかもしれない。だが、いじめはよくない。管理人はみなそう思った。
「この囚人管理衛星が出来て、犯罪者の管理が随分楽になりましたね。刑期を終えて、出所した犯罪者たちが再び犯罪を犯す率は高い。DNA入力で犯罪者を遠隔操作出来るのは、最高です!」
今日の衛星管理者はそう言い放つ。
「わかっている。ところで、はなをいじめた連中だが」
そこまで言う日野咲に衛星管理者が言う。
「脳攻撃は随時にしますか?永久にしますか?それとも監視でいいですか?」
「永久でいい」
「本当に娘さんを可愛がっているんですね」
脳攻撃随時とは、統合失調症のような症状、幻聴や幻覚などを随時見せるようにその都度、衛星の管理人が、アクションを起こす攻撃である。そうして永久は、脳に穴をあけ、完全な統合失調症にまで追いやることだ。統合失調症は、脳に4か所の亀裂が走っているということは知る人ぞ知る、事実だ。
一度完全に統合失調症にすれば、何度も攻撃のアクションを起こさなくても、被害者は延々苦しみ続ける。それは幻聴だったり、幻覚だったり。
監視は盗聴で。話した言葉や脳内の思考をデーター化するものだ。全ての犯罪者を強固にコントロールするために築かれたシステムだが、はなへのいじめがひどく、はなの父、日野咲は衛星を私用している。はなへのいじめを思うと、衛星管理人もみな妥当と感じているのかもしれぬ。
「はなさんは、はなさん思いの父親を持っていて、本当に幸せだ!」
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