12.日本の総理大臣

第20話

「浅野総理!」

かっかと総理官邸を歩く

総理。


一方、隣を追って

歩くは、防衛大臣、青山大臣。


「分かっている!

日本人は戦争に弱いって

言いたいんだろう?

国土も狭いし、資源もないし、

軍隊もないし、核兵器もない」


浅野総理はそのまま

足早に廊下を歩いている。


「分かっていれば

いいんですが」


「徴兵令もダメ。

自衛隊での戦闘もダメ。

ずうっと世界の情勢に

もんもん悩んでいたが、

核弾頭の使用だとは。

しかも、明日アイルに

撃ち込まれるのか?」


暗い面持ちの浅野総理。


「このまま行くと、

核弾頭の連鎖使用になります。

もう世界は終わったも同然です!」


青山防衛大臣の言葉に、

浅野総理はくうを睨む。


「あんなに、広島の原爆の経験をもとに、

世界平和を訴えてきたのに。

世界平和のためにどれだけ日本が

動いても、核弾頭が世界に撃ち込まれては

世界ももう終わりだ」


浅野総理はハイヤーに乗る。

青山防衛大臣も。


流れる景色。

たどり着いた先は?


「浅野総理!」


青山防衛大臣の言葉。


「分かってる。

マイクパフォーマンスでは、

全国民が怯えないように、

毅然とした態度を取れと

言うんだろう?」


毅然とした態度の

浅野総理に、やや安堵する

青山防衛大臣。

でも世界は終わりかけている。


無数のマイクとカメラを目の前にして、

ゆうゆうとする浅野総理。記者会見。


回るカメラ。


「日本全国民諸君!」

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