第15話
そうして、フェンスのてっぺんから身を乗り出し、青年は泣きながら叫ぶ。遠い空に向かい。
「今の僕があるのは、あなたのおかげです!」
乾いた風が青年の前髪を煽る。青年は風の音に負けないよう声を張り上げ、叫ぶ。
「10年経って、僕は生きることに決めました!
僕は生きます、明日も、あさっても、しあさっても、僕は生きますから!あなたの分まで、生きますから!」
顔が涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった。涙はすごくしょっぱかった。風が青年の声を男の元へと運んでくれる様な気がした。いつしか、
10年後に死んでいいなんてそんなルールは青年の頭の中から消え去っていた。今日より明日、明日より明後日が良くなるように、ただ、ひたすらガムシャラに生きていた。
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