一章:ビルの屋上

第1話

とある高層ビルの屋上に似つかわしくない一人の少年がいた。地べたよりもずっと青空に近いソコ。




少年は、屋上の高いフェンスに指をかけ、ただならぬ表情で地上を見下ろしていた。足もとには、一通の白い小さな手紙と丁寧に揃えられた白いスニーカー。




少年は休日でもないというのに、学生服を着ていなかった。やや伸びがちの髪の毛にしわっぽいTシャツ、そして、くたびれたジーンズ。顔は青ざめ、唇がカサカサに乾ききっていた。

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