27.その時、ヨウは…
第27話
不意の言葉、娘のあまりにも遠い遠い昔話に、はっとさせられる洋次。それがきっかけだったのだ。ほんのささいなきっかけ、行き違いが思春期の娘には大きな溝となることもある。
あのあと、「真奈美が今日、生理になったのよ」と洋次の一人遅い食卓に赤飯を並べつつ妻が言ったが、洋次はただ空返事をしただけで、そのままにしておいたことを思い出す。娘との関係が崩れ始めた原因は…洋次はこの数年を思い出す。
(そんなことで…そんなぽっちなことで……)
しかし、洋次は再び思い直す。
(いや、そんなぽっちなことが大切だったんだ…)
自分に立ち向かってくる娘の姿を見、洋次は思った。初めて知った。気づきもしなかった。しかし、洋次はひるまず言葉を続ける。
「それにな、そのメイク。オマエ、全然似合ってないぞ! 若い間は肌がきれいなんだから、メイクの必要なんてないだろ! 若さを大事にしろ、若さを!」
よくある大人の言葉かもしれない。だが、洋次がずっと口に出したくても言えなかった言葉。
「娘の顔色ばかりうかがって、注意どころか、干渉すらできない、くそオヤジ! 父親なら、父親らしくしろ!!」
真奈美も負けじと叫ぶ。洋次も叫ぶ。
「だから、今、干渉してる!」
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