23.キター!

第23話

凍りついたナナ…いや、娘、真奈美の顔。いつもの制服姿で洋次を呆然と見下ろしている。




ひきつった顔ですぐさま体をひるがえし、店内から飛び出す真奈美。洋次は慌てて娘を追おうとするも、飲んでもいないホットコーヒーの代金を店員に求められ、財布から小銭を取り出すのに、つい手間取ってしまう。




それでも、急いで喫茶店のドアを抜け、もう間に合わないかと辺りを見回すと、通りの向こうで遠く息を切らす娘の姿が見える。必死に駆け出す洋次。その様子に気づいた真奈美が再び遠く走り出す。




「真奈美! 真奈美! 待ちなさい!!」




追っても追っても逃げる。




逃げても追う。




こんなに必死に走ったのは、一体何年ぶりだろうか? そうして、ようやく洋次が真奈美に追いついたころには、もう喫茶店からは随分と離れた公園にまでたどり着いていた。公園の周辺を取り囲む、緑の木々。




公園の中央近くには、オブジェもかねた噴水が、涼しげに水を吐き出している。




「真奈美!」




息を切らしながら洋次。相変わらず少し距離のあるところで派手に肩をゆらし、へたり込みそうに成っている娘に向かい叫ぶ。




「真奈美!」




「言うに事欠いて、女子高生相手に援助交際かよ!!」

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