第30話
開かれた雑誌、それは週間ポテト。定期的に特集が組まれているそっくりさん特集。美鈴と今は亡き政治家岡部涼花が、そっくりだと写真が掲載されている。その他にもたくさん、そっくりさんが掲載されているが、二人は愕然とする。それもそうだ、二人はそっくりさんではなく、クローンだからだ。
これはまずいと思った。美鈴と椎野は、会議した。必死に会議した。美鈴が岡部涼花のクローンであることを悟られてはならない。
そうして、お正月明け。ワイドショーで、Kissしてボンバーの美鈴が、岡部涼花のクローンであることを暴露したニュースが流れ散らした。美鈴と椎野が必死に会議していたのを、盗聴していたマスコミマンが居たようだ。美鈴がアイドルとして昇り過ぎたため、常にリーク者が居たようだったと二人は愕然とする。
愕然としていると、家先にがやがや、どやどやという人の気配を感じる。二人が玄関を開けると、マスコミがどっと押し寄せた。
「美鈴さんは、岡部涼花さんのクローンなんですか?」
「クローンは違法ではないですか?」
そんな鋭い指摘に、父、椎野は、焦るばかりだ。突き付けられるマイクたち。
「クローンを作るなどとは、人道に反することではないですか?」
「クローンですか?」
その困惑した椎野の表情すらニュースやゴシップ記事となった。玄関先は、どやどやと常にマスコミが押し寄せる。そんな中、美鈴は泣きじゃくる。椎野を見上げ、泣く。
「私、いらないんだね。私、人間じゃない。神に背いた存在なんだ。私、もう消えたい」
その絶望の言葉を聞き、椎野は美鈴の頭に話しかける。
「そんなことはないよ。美鈴はKissしてボンバーのメンバーだし。みんな美鈴を愛しているよ」
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