第27話
「君は、確かにクローンだけれど、岡部涼花とは別人の人格だし、体も別物だ。君とセックスをして、岡部涼花の子供をはらませようとしたことを、心底謝りたい」
そう言って、椎野は土下座した。椎野は美鈴を見上げる。
「君は素敵なアイドルに育った。本当に君は素敵だ。本当に本当に素敵なことが起きた」
美鈴は椎野の言葉に絶望した。そのまま自らのパンストの足を岡部涼花と思い、舐めなさいと思ってしまったが、そんなことは起きることなく、美鈴は父、椎野の両肩に手を添え、絶望を覚えながら言う。
「お父さん、よかった。お父さんの目が覚めて。美鈴と岡部涼花は別人だから、それがわかって、本当によかった。お父さん」
そこまで言うと、美鈴はくるりと椎野に背を向ける。美鈴はその背中を椎野に抱き寄せられることを夢想したが、それは幻想だと悟る。
美鈴は本当に椎野の子供として、素敵なアイドルとして、活躍し続けなければならないと思った。家を出ようかとも思った。そこまで思い、美鈴は自分の性欲に愕然とした。美鈴は椎野と愛されないセックスをしてよかったわけではないと思った。
枕に突っ伏し、キスをする。気持ちいい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます