第3話

いや、しょぼかろうがなんだろうが、これでも全国区だ。めぐりん、なんなら英訳して海外進出でもしてみる? と僕が思っている間にも、めぐりんはみるみる力を発揮してきた。




はて、これは僕の見る目があったからだろうか? はたまた、めぐりんの力量だろうか? 何にしろ、自分が応援しているアイドルが、芸能界をどんどん駆け上って行くさまを見るのはすごく楽しい。まるで自分のことのように嬉しい。




そうして半年もしたころ、めぐりんはすっかりメジャーなアイドルの仲間入りをしていた。それに比例するかのように、跳ね上がる僕のサイトの訪問者数。カウンタの回りが、これまでとは明らかに違う。めぐりんが露出するたびに、どんどん数字が跳ね上がり。




あっという間に、万を超え、ン十万を超え、ン百万に到達し、何にしろ、めぐりんがそれだけみんなに愛されているということだ。やったね! めぐりん、キミは人気ものだ! とびっきりの人気ものだ! ネット検索すると星のように乱出するめぐりん寄りコメント。




そうして、いつの間にか出来上がっているめぐりんのオフィシャルサイト。実にイカしたデザインだ。ショッキングピンクをベースにしたデザインで、軽くコスプレっぽい洋服に、めぐりんのかわいいポージング。マウスでいじるたびに、そいつが連動してくるくると表情を変える。ベリーキュート! 




やっぱ、写真が入るとサイトの出来栄えが違うや、とちょっぴり嫉妬。しかたない、僕はしがない一ファンだもの。一ファンサイトにめぐりんの写真は掲載できないんだもの。




そっちがビジュアルなら、こっちは情報量で勝負だ。ファンが知りたいことがすぐ分かるように、情報をしっかり整理して。出演番組をチェック、番組の中の会話を文字に起こして、インタビューを文字に起こして、出したCDのレビュー、DVDのレビューを書いて、ちょい役で出たドラマも紹介して。




これまで以上に力を入れる。めぐりんがメジャーになればなるほど、掲載する情報もバカ増えして、僕も毎日大忙しだ。かくして、僕の熱心かつ地道な応援活動で僕のめぐりん応援サイトはオフィシャルに並ぶ一番人気のファンサイトとなった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る