五章:二人の愛のカタチ
第15話
男のアパート。二人は寄り添っている。
「あなたの両手と両足が不自由でよかった。だから、私はあなたを独り占めできる」
頬を寄せる二人。
「君の子宮が無くてよかった。だから僕は君を独り占めできる」
男は自由の利かぬ手で冴子の頬をなでようとする。女は男の手の甲を支え、自分の頬に寄せる。
「あなたが、みるからな欠点を持っていてよかった。だから、あなたは私だけのもの」
「君が、みるからな欠点を持っていてよかった。だから、君は僕だけのもの」
そうして二人は軽くキスをする。
「君が君でよかった」
二人はおでこをそっとひっつける。そして笑う。
「あなたがあなたでよかった」
再び唇を寄せる。深く深く口付ける。
二人の間では結婚の機運が高まっていたが、世界は二人に優しくは無く、二人の歯車が徐々に崩れていくことを冴子はまだ知らなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます