第49話

嵐の去ったリビング。完全無風状態の中、大輔と花子がソファーに横並んで座っている。




「ごめんね疑って…」




上目遣いで、しおらしく謝って来る花子。甘え声を出す。




「お前なぁ、オレになんて恥をかかせるんだ。お前の誤解を解くために、こんだけ赤っ恥をかいたんだから、オレがお前しか愛していないことは分ったろう?」




夫の威厳を何とか取り戻し、毅然と妻をたしなめる大輔。花子の額をぐーで軽くこづく。




「ったくぅ!」




「だってぇ! だってぇ! だってぇ! 浮気をしてるって思っちゃったんだもん。あなたを他の女に絶対取られたくなかったんだもん!」




駄々をこねるように言う花子を、両腕で抱き寄せる大輔。




「しょうがないなぁ! そう言われると責めきれないんだなぁ!」




と、まんざらでもないご様子だ。よしよしと花子の背を叩く。




(なーんちゃって!)




大輔の腕の中で、ぺろり心で赤い舌を出す花子。

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