第18話
フラッシュはようやく現状を理解した。自らのせいで日本が危なくなっていると。
『テレビの生中継で、日本の総理大臣と交渉する』
『総理大臣に?』
『日本人はぬるい人種だ。一人一人の命をやたら大切にする。そこが日本の弱点だ。そうして日本はアメリカとツーカーだ。こいつは聖戦だ!』
(こいつらはテロリストだ!)
フラッシュは青ざめる。どちらの意味でも、まずはミーナを想う。そうして日本を思う。
『バカなことはやめろ! こんなことをしてなんになる! 俺を解放…』
とそこまで言ったところで、長剣で、胸を切られる。浅く、だけどハデに血は流れた。
シャツの隙間から、赤い鮮血がにじみ出る。
『うぐぅ!』
痛みのあまりうめくフラッシュ。
アフガニスタン人が言う。
『おしゃべりはオシマイだ。お前は人質だ。その傷は日本を動かすための演出だ』
『さぁ、ライブ交渉の始まりだ、お前も電波に乗せてやる』
数名の武装したアフガニスタン人によって取り囲まれているフラッシュ。
『日本に要求する。お前たちの大切な大切な日本人だ』
日本のテレビ、全国放送に日本語で同時通訳されながら、流される声明文。
「この日本人の受け渡しに、100臆ドルの支援を要求する」
それを見つめる国内の日本人たち。ミーナも見ている。茫然自失した面持ちで。
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