第9話

「ま、消せばいいけどさ」




とつぶやいた矢先、ミーナが腕組んでくる。




「2ショット写真とろー!」




ミーナから腕ぐまれたことはともかくとして、フラッシュがいやそうな顔をする。




「えー、俺いいよ。2ショット写真なんて、アート性低いもん撮りたかねーって!」




今度はミーナの番だ。




「いいからとるの!」




フラッシュの腕を持ち頃のいい場所までカメラを移動して、ぽちっとボタンを押す。




パシャ!




「プリントアウトしたら、お互い一枚ずつ持とうね!」




ミーナの満足げな笑顔。







ずっとコンビ二弁当だった日々を思う。今はちょいヘタながらも愛しい彼女の手作り料理を食べている。帰宅した時に灯っている明かりだとか。テレビ番組で一緒に笑いあうことが出来る相手がいるだとか。男友達とはまたどこか違う、くすぐったさ。久しく味わっていない、今が、とてつもなき幸せのように思える。




幸せすぎて怖いくらい。この幸福はいつまで続くのか?

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