第7話

ちなみにフラッシュはカメラのフラッシュをもじって付けたハンドルネームだ。




「そっか」




しばし二人は天井のしみを見つめていたが、やおらフラッシュはミーナーに向き直り、言う。




「…死ぬのはぜーったい、やめた方がいい!」




「なんで」




不思議そうに小首をかしげるミーナ。




「なんでって、お前、可愛いもの。美少女は国の宝です」




そうしてフラッシュは言葉を続ける。




「お前の命は、お前だけのものであって。だけどお前だけのもんじゃない。お前が死んだら、地上のオトコどもが悲しむ。ってこれはちょっと大げさかな?」




フラッシュはベッドを出、洋服を手早く着ると、ごそごそとベッド脇の機材カバンから、カメラを取り出す。そうしてレンズをミーナに向け構える。




「お前が死んだら、これまでお前がすれ違って惚れさせた男どもがみんな悲しむ、ってこれはだいぶリアルな話」




レンズ越しにミーナを見つめる。




「まぁ、本来なら、俺が独占してるってのも、ちょっと勿体無いくらいかなぁ」




そう言うと、フラッシュはアングルを見極め、ミーナを一枚撮る。




「まって、まって、こんなかっこ…」




慌ててシーツをひこずるミーナ。




「メイクも崩れてるし、髪もくしゃくしゃ」




「待ったなし」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る