二章:フラッシュ

第6話

フラッシュは27歳。駆け出しのフリーのカメラマンだ。




なぜ死にたいとフラッシュが思ったのか、自分でもよく分からない。ミーナの自殺未遂の原因を思うと、てんでお子ちゃまだったなとも思う。今ではすっかりミーナのとりことは言わないが、きっと末恐ろしい女に育つだろうなとも思う。




ミーナとの会話を思い出す。ピロートーク。フラッシュが激しいいじめを気遣うと、ミーナ顔を伏せ気味になり。




「あたしって弱っちいなぁ…でも、カメラマンと同棲なんて、ちょっとカッコイイから、見返せるかも!」




と言って笑う。




「自慢になんかならないよ。カメラマンもピンからキリだから」




だけどフラッシュは思う、あの日ミーナを拾って、人生は一転した。いや、自分がミーナに救われたのかも? と思った。あの日のキスを未だに思い出す。




「フラッシュさんは、ピン?」




「キリでしょ! ピンキリの意味分かってる?」




「ううん」




「んーとなー、ピンが上で、キリが下って。なんで俺、こんな話してんだろ?」




と首をかしげながらも、話を続けるフラッシュ。




「まーようするに、俺は…カメラマンの中でも下っ端ってことかなぁ…フリーだし、でも食えないカメラマンって多いし、まぁ、最初はみんな似たようなもんだけど」

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