第37話

side 亜弥美




寂しそうに、中庭に立っている木に


手を置いて泣いている妃愛。




そばにいてあげたい…………。





だけど、妃愛とあっくんの思い出に


わたしは土足で踏み込むことができない。




だから、いつもわたしは見てるだけ。




声もかけずにみてるだけ。





妃愛とあっくん。





わたしはその2人の関係を知らない。




いや、知っているけど知らないフリを


続けている。




彼は伝説の人だから。




わたしは妃愛の口から聞くのを待ってる。




彼のことは私は兄貴から聞いていて


詳しく知っている。




だけど、話してくれる日を待っている。




妃愛が前を向いた時、言ってくれる


ことを信じているから。

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