第7話

校舎の扉に向かって足を進める。


校舎に入るまでに歩く道に

一本の目立つ桜の木が植えてある。


風に吹かれて

桜の花ビラがひらひらと舞う。



今日、わたしは将来を約束されるであろうお嬢様学校から無理を言って

この学校に転入してきた。




目的はたった1つ。




高校上がる前は分からなかった

あっくんが通っていた学校が

どこだかわかったから。


同じ空間に立ってみたいと思って。




いまのわたしを、あっくんが

みたらどう思うだろうか?



怒る?泣く?笑う?




どれもありえそうでわからない。



あっくんの面影を未だにわたしは

探している。もう居ないあっくんを。


いい加減、現実を受け止めないと

いけないのに…まだ目を反らす。



家族のみんな、あっくんのことで

私に言いたいことがあるのに

気付いてはいるけど、知らないフリ。


私は、有難いと思っている。





ーーーーーー塔英学園ーーーーーーー




この学校が、あっくんの母校。




そして、お母さんの知り合いが理事長を

勤めているこの学園 塔英学園。




だから、おじいちゃんやおばあちゃん

みんなに反対されても強行突破して

この学園にきた。




将来も約束されていたあの学校を

転校するなんておバカなはなしだけど。



どうしてもこの学校に通いたかった。





通いたい理由が私にはある。

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