第13話

「はあ…」ため息を吐く。



俺のどんよりとした真っ暗な心と違って、空は快晴で。雲ひとつない。



太陽の光が―――まぶしい。



間違った道を歩まなかったら

今も隣には梨絵子が居て、朝妃が居て…悠妃も妃愛も喧嘩しながら笑いあって。


暖かい家族を、築けていたのかな。




極道の世界に暖かい家族なんて有り得ないか。




蝉がジージージリジリジリと鳴いてる。


もう、夏か……って、もう8月だけど。

どうりでジメジメして暑いわけだ。


今年も―――あと4ヶ月かあ…

なんて現実から逃げるように考える。




「隣いいですか?」

声がして、顔を見る。誰かが近付いて来ていたのは気付いていたが、どうでも良くなっていて、気付かぬふりをした。




「その顔、朝妃もよくしてましたよ。」




朝妃、という言葉に

声を掛けてきた人物の顔を見る。




碧空だった。

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