第6話

先生に鎮静を投与するように頼み

妃愛に思い出さなくていい、これ以上は何も思い出さなくていい―――…。



「ゆっくり息を吐いて眠っていいよ。」

妃愛を落ち着かせるように声を掛けて、支えて…穏やかな優しい顔で妃愛に接する翔馬を見て。




俺と梨絵子の関係を。




玖賀に嫁に来て―――数年。


4人の子宝に恵まれて俺は不安と戦いながらも、幸せな毎日を過ごしていた。



時々パニックを起こして

ヒステリックになる時を除けば

愛する嫁が居て、可愛い息子が居て

長男、次男との関係は悪かったが、俺はそれでも、幸せな時間を過ごしていた。




ふっ―――と、現実に意識が戻る。

 



今の翔馬と妃愛の関係は

数十年前の俺と梨絵子の関係。


朝妃の愛情を一心に受けた翔馬は

真っ直ぐに、一途に妃愛を思い、支え

寄り添ってきたのだと受け取れる。



麻紀の息子だとわかって

芽生える愛おしさ。



ただ、ただ、翔馬が可愛いと思う。

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