第50話

悠妃:「自分自身との闘いだよね。」



妃愛:「そうだね、自分自身と。」



悠妃:「向き合うのは親父や妃響兄…兄ちゃん達とだけど、最終的なものは自分の心って、妃愛は理解してる。」



妃愛:「…………そうだね。」



悠妃:「だからさ、あと一歩なんだよ。踏み出すまでの勇気。勇気があれば何でも大丈夫って訳でもないけど、進んだ先に幸せが待ってるかもしれないよ?」



妃愛:「幸せ…は望んでいない。」



悠妃:「怖い、からだよね。」




幸せになりたい。



って、気持ちよりも



怖い、気持ちが上回る。



行動に移せない。




そんな自分が大嫌い。




妃愛:「怖いよ、怖い。死ぬ事も怖い。誰からも悲しんで貰えないのも怖い。私は、欲張りなんだよ。行動出来ないくせに、望むことが多すぎる。」



悠妃:「うん。」



妃愛:「重荷に思われるのも怖い。」



悠妃:「うん。」



妃愛:「……………怖い……よっ……」




怖い、怖いんだよ。



欲張りな自分が…

誰かに甘える事が。


人を信じてしまうことが。



別れが辛くなるから。



だから、これ以上

欲深い人間にならないように


周りの人達から距離をとって



自分の心を守る為に



突き放すんだ。




でも、悠妃くんは


軽々と踏み込んでくる。



もう、誰も頼らない

信じる事もしない


って決めたはずなのに



気持ちが揺らぐ。




私、本当は誰かから必要とされたいんだ。



私自身を見てほしいんだ。




いまさら、気付くなんてね。

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