第39話

燈妃:「一度、聞いたことがある。記憶を取り戻すツアーして、受け入れていくのかって。」



燈妃も思い切って聞いたのか。


嫌な予感を感じていたから

聞いてみた、感じなのかな。




燈妃:「妃愛は言ったんだ。そんな訳ないよ。悔いを残さない為だよ。って。



俺、言葉の意味がわからなくて。ただ、聞いただけになったけど、今ならわかる……死ぬ事わかっているから……」





言葉が詰まった燈妃。


頭を抱えて、泣いている。




「この世への未練は、失った記憶。」




それしか、ないんだよ。


今の……いや、今までも……

もしかしたらこれからも……

心残りを埋める為に生きていくんだ。




妃愛の心残りの中に……


俺や、妃響兄………

妃愛の家族は含まれないのかな……




ずっと孤独で苦しんでるの見てきた。



幸せになる選択肢は存在しないのかな。




どう、俺らが頑張っても

妃愛にとっては、必要ない存在なのかな。



俺にとって………

妃愛はもう、家族なんだよ。


大切な妹で、護りたい存在なんだよ。



そうでなければ


とっくに関わり断ってる。




燈妃の悲痛な叫びは……


俺と燈妃しか居ない部屋に響いて

静寂に包まれる。



窓から見える景色は

初夏を感じさせ、澄みわたる空が

部屋に明るい光を灯してくれている。


だが、二人で居る空間は

身も心も凍てつく寒さで、震える。

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