第32話

ともくん。


ごめんなさい。



ワガママで困らせてばかりで


何も恩返しできてない。




また


あの時と、同じ


同じ事、繰り返してしまったね。




私には私の人生があるように


ともくんには、ともくんの人生がある。




ともくんが兄ってわかって嬉しかった。



だけど、同時に


怖い、って思ったんだ。




親しくなればなるほど


いつか、お母さんやあっくんみたいに

別れがくる。



私は、余命宣告された身。


生きることにもがいてしまいそうで。



生きることを望んでしまいそうで。




そんな、自分が怖い。



誰かにしがみついてしまうことが


怖いんだ。




だから、突き放す。



突き放したい、って思っている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る