第31話


嘘って言って、あっくん。




あっくん。



わたし、事故のことは

ほとんど覚えていない。



あっくんの記憶あまりないよね…


って言われて、否定出来なかった。



実際のところ

事実だから。



記憶がないことを

受け入れることができなくて

誰にも言えなくて


一人で、苦しむしかなかった。




あっくん、あのね。


わたし、あっくんの記憶だけが抜けている。



あっくん…と過ごした日々……

断片的にしか覚えていないの。



だから、思い出したい。




そうしたら


悔いなく、死ねるから。





この世に


悔いを残して


死にたくないから。



あっくんと過ごした記憶


取り戻したいんだ、わたしは。



悔いなく、

わたしの人生を終えるには

思い出すことが必要なんだ。



わたし、何か間違っている?

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