第16話

妃愛:『ねえ、ともくん。』



未だに、ともくんの腕の中で

顔をうずめ…動けないでいる私。


一歩、進むことが怖くて…


このまま永遠の眠りについて

しまえたら、いいのになんて思う。



同時に、

私の知らないお母さん、あっくんを

知っているお父さん…お兄ちゃん…


私の家族…と関わってみたいとも思う。



矛盾する二つの気持ちに

自分は何がしたいのか、わからない…

って思うことがある。



だから

怖いけど、聞いてみたいことがある。




燈妃:『なに?どうした?』


妃愛:『ともくんさ、あっくんから私の事聞いていたでしょ。』



荒れていた中学時代。


バーで出会ったともくんと私。



喧嘩したことがはじまりだったけど

それだけの理由で、共に行動…

してくれていたのか…


わからないことが、ある。




本当の……本当の理由は何なんだろう?




妃愛:『あっくんから聞いてた。だから……ずっと……居てくれた…違うの…』


燈妃:『あっくんからねえ………』


妃愛:『なんで一緒に居てくれたの。かなり迷惑かけた、心配もかけた。呆れて見捨てることだってできたのに…何で。』


燈妃:『なんで……なんでかあ……』




なんでか疑問なんだ。




なんで一緒に居てくれたの?

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