第59話
「颯大。」
「――――………。」
病院の廊下の椅子に項垂れ座っている颯大の
肩をポンっと叩き隣に座るひとりの男性。
「元気だせ。お前のせいじゃない。
颯大が自分を責める必要はないんだ。」
「――――……でもっ、赤ちゃんがっ……。」
「生まれてこれただけ奇跡の命。
ここで亡くなっても命を全うしたよ?颯大。
そういう命もあるんだよ。」
「あんまりだよっ……。
こんなのあんまりだよっ……。
史哉さんに伝えることはできないのかっ?なあっ――……。」
掴みかかる颯大。
颯大をじっと見つめる男性。
二人の元にもう一人訪れる。
「颯大、気持ちはわかる。落ち着け。
色んな事情があるんだ。大人の。
颯大、どうにもならない事もあるんだよ。」
「――――………ッッ………」
妃愛が生まれた時の出来事。
2人の男性が今後の玖賀に
大きく関わってくるとはこの時、予想できた人は
どれくらい居たのだろうか。
物語の鍵を握る人物になるのだろうか。
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