第51話

『朝妃は荒れてます。玖賀にも蒼空にも

居場所がなくて毎日荒れ狂ってます。』




そう、やっぱりそうなってしまったの…


なんて呟いて俯いてしまった朝妃の母親に

颯大は思い切って話しかけた。




『どうして、置いて行ったんですか?

悠妃も朝妃もみんな梨絵子さんを必要と

しているんですよ?どうしてですか?』




まだ1歳の悠妃がいるのに、どうして

置いて行ったのか理解ができなかった。



だから、怒りの感情をぶつけるように

梨絵子に問いかけてしまった。





『理由があるのよ。でも、それは言えない。

ごめんなさいね。颯大。朝妃のことよろしくね。』



『ズルくないですか?子供置いてくって。

せめて、玖賀を継ぐ……朝妃になんで何も

伝えることしなかったんですか?』



『私はズルい人間だから。颯大に言っても

わからないと思う。ごめんね……颯大も総長で朝妃や妃響みるのは辛いよね……ごめんね…』



『なんで………泣くくらいなら……朝妃も

妃響も置いていかなかったら良かったのに……』



『ごめん……朝妃をよろしくお願いします。』




それだけ言って、朝妃の母親は逃げる

ように立ち去ってしまった。

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