第50話

2人は無言のまま、近くのカフェにきていた。




お互い何も話さず、静かな空気だけが

流れていた。




先に、話しかけたのは梨絵子だった。





『朝妃は元気にしてる?』




颯大は思った。出て行ったのに……

朝妃が苦しんでいるのに……この人は何を

考えているんだろうって……



戸惑いながら、何も言えなかった。





『お兄ちゃんにそっくりね。颯大は。』




『おにいちゃん……?』




『仲野 梨絵子聞いたことないかしら?』





父親から何度か聞かされたことがあった。




梨絵子は元気にしてんのかな?

こどもは元気に過ごしてんのかな?


あいてえな、梨絵子にも、子どもにも。




親父は、よく寂しそうにつぶやいていた。





妹が出て行った。そう、聞かされていた


颯大は目の前にいる朝妃の母親が



父親の妹だとすぐに理解した。




自分の親戚ってことにびっくりもした。



だから、尚更………親戚である朝妃が

妃響が苦しんでいることを黙ってみている

ことができなかった………

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