第13話

逃げようとしたら、




おい、朝妃なんて言われてさ。





なんで名前知ってるんだ?

若頭ってバレたのか?


もしかしてやばい人間で調べられたのか?



とか、色々想像しちまって。





怪しいもんじゃねえから、ついてこいって言われて無理やり車に乗せられてさ。



抵抗出来ず、あっさり車に乗っちゃった…





運転手は明らかにあっち系の人。




若頭だからビビることはなかったけど

まずい人に喧嘩売ったのかもしれない。



なんて後悔しててさ。



はじめて、命の危機を感じたね。



ああ、俺もう死ぬのか…………


母さんの男に殺されて、家族に感謝も謝罪も

言えずに死んでいくのか…なんて考えてた。




どこに連れて行かれるのかもわからないまま

車は発車したんだよ。





で、例のやつは言うの。



怪しいもんじゃないから心配すんなよ。

玖賀朝妃くんなんて言って笑ってるの。





フルネームまで知られてるって

どこか他の組か?こんな男知らねえよ?


けど、見たことねえし誰だかわかんねえし。




なんも言えないまま、でっかい豪邸についたの。

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