第10話

ほんと俺って運が悪いよな。




会いたくもないのにあってしまう。



とんだ、運命の悪戯だ。





母さんが、俺たちを捨てて一緒になった


男なんて会いたくもなかった。





なのに、会ってしまうんだよ。





ほんと最悪で、ついてないよな。


何かに導かれるように会うんだよ。






辛かったなあ、あの頃は。



色んなことに葛藤しててさ。




馬鹿みたいに喧嘩して暴れまくって。


ほんと子どもだったんだよ、おれは。




そんなことしたところで何にもならないのに。



喧嘩して、暴れて………現実から目をそらす

ことででしか、生きていけなかった。



今だからこうして笑えるようになったけど

当時は苦しいことばかりだった。




喧嘩だけをするために入ったわけでも

ないのにな、毎日喧嘩の連続だったな。




痛い思いさせて、ごめんな。




妃響が、家でも、倉庫でも俺の代わりに

色々言われてたのは知ってる。


妃響は、何も言ってこなかったけど…

俺は全部知ってたよ。



言わないのも妃響の優しさだって思ってた。



苦しい思いばかりさせてごめん。

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